哲学の中庭

…と、真理の犬たち

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

問いが欲しがるものと、哲学者が欲しがるもの

コーハンさんのワークショップに 参加して学んだ最大のことは、 問いが欲しがっているのは答えではない ということだった。 コーハンさんが言ったように、 問いを見ると、答えたいという衝動がわく。 その衝動は、いわば錯覚だ。 問いは答えを欲しがってはい…

「まともではない人間」とは何か? — 人間探求にまつわるパラドックス

ヴィクトール・フランクルは、 強制収容所の監視者たちを観察した経験から、 このように書いた。 こうしたことから、わたしたちは学ぶのだ。この世にはふたつの人間の種族がいる。いや、二つの種族しかいない、まともな人間とまともではない人間と、というこ…

青年的隠者

隠遁するのは 人の世に疲れた老人だけではない。 人の世を恐れる青年もまた、 その魂を内に隠遁させている。 その純粋さ、潔癖さによって、 青年の内に、核、もしくは道が、 ようやく形をなしはじめる。 そのとき、恐れから一転、 青年は自らの魂を、 外へ放…

この紋章がおわかりになるだろうか?

これはフルール・ド・リス、いわゆる「百合の紋章」。 フランス王家やフィレンツェの紋章としてよく知られる。*1 菖蒲の花を模しているとされるが、 さらにさかのぼれば蜜蜂の形に由来するという説もある。 *2 ところで個人的には、 インド由来のヴァジュラ…

指し示され動きはじめる闇

私はなんと小さいのだと、 思い知らせてくれる師がいることは、 幸いなことだ。 偉大な師は、 誰にも見えていなかった闇を、 初めて指し示す。 その闇は、世界の深層であり、私の深層。 その闇の深さを、私は思い知る。 その闇の深さに比して、私はあまりに…

埋葬と二人称

食卓の上にある、 命だったものを前にして、 「あなたの命をいただきます」 と言うことは、可能だろうか。 私たちは、 「あなた」と呼ぶことのできる相手を、 食べることはできるだろうか。 文明の始まりは、 〈埋葬〉だったという話がある。 庭で息絶えたス…

オチのある夢

たまに、オチのある夢を見る。 小型ドローンが、 家の窓のところに飛んできて、 窓の向こうのレンガに着地する。 「爆弾よ!」と母が叫ぶ。 僕は窓を開けて、 できるだけドローンに近づかないようにしながら、 ドローンを長いトングでつかみ、 向こうへ投げ…