いまよみがえる悪夢
哺乳類としての私たちの祖先は、
1億年以上も前から、
恐竜をはじめとする
爬虫類におびえながら生きてきた。
そして、いまだに私たちは、
たとえば森に入れば、
蛇におびえなければいけない。
1億年以上の恐ろしい記憶が、
私たちの奥底にはある。
その深い奥底から、
大蛇やドラゴンなどと争う、
夢と物語が生みだされてくる。
脊椎動物としての私たちの祖先は、
5億年以上も前から、
節足動物におびえながら生きてきた。
殻を乗せた足に捕えられ、
針に貫かれ、
刃に削がれる。
5億年以上の恐怖の記憶が、
私たちの奥底にはある。
このところ、
人間がロボットと争う物語を、
ますますよく目にするようになった。
むしろ、機械が進歩してくれれば、
ロボットとの争いなど
非現実的ではないだろうか。
いや、それ以上に、機械の進歩は、
私たちの深い深い奥底にある、
節足動物の悪夢を刺激し、
よみがえらせていると思われる。
ロボットたちの装甲は、
人間の肉と骨格を
ものともせず砕く。
私たちが見ているのは
未来の機械との対決であると同時に、
はるか太古の節足動物との対決なのだ。
ボーロ