哲学の中庭

…と、真理の犬たち

いまよみがえる悪夢

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哺乳類としての私たちの祖先は、

1億年以上も前から、

恐竜をはじめとする

爬虫類におびえながら生きてきた。

 

そして、いまだに私たちは、

たとえば森に入れば、

蛇におびえなければいけない。

 

1億年以上の恐ろしい記憶が、

私たちの奥底にはある。

 

その深い奥底から、

大蛇やドラゴンなどと争う、

夢と物語が生みだされてくる。

 

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脊椎動物としての私たちの祖先は、

5億年以上も前から、

節足動物におびえながら生きてきた。

 

殻を乗せた足に捕えられ、

針に貫かれ、

刃に削がれる。

 

5億年以上の恐怖の記憶が、

私たちの奥底にはある。

 

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このところ、

人間がロボットと争う物語を、

ますますよく目にするようになった。

 

むしろ、機械が進歩してくれれば、

ロボットとの争いなど

非現実的ではないだろうか。

 

いや、それ以上に、機械の進歩は、

私たちの深い深い奥底にある、

節足動物の悪夢を刺激し、

よみがえらせていると思われる。

 

ロボットたちの装甲は、

人間の肉と骨格を

ものともせず砕く。

 

私たちが見ているのは

未来の機械との対決であると同時に、

はるか太古の節足動物との対決なのだ。

 

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ボーロ

*1:ヘラクレスヒュドラ, Attributed to the Diosphos Painter, 500-480 B.C., Musée du Louvre, Paris

*2:ドラゴンを退治する聖ゲオルギウス, ベルナート・マルトレル, 1430-1435 A.D., Art Institute of Chicago

*3:ウミサソリ, エルンスト・ヘッケル『生物の驚異的な形』, 1904

*4:ギュスターヴ・ドレ, ダンテ『神曲 地獄篇』の挿絵, 1867